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ゲド戦記

ゲド戦記 4 帰還 (ソフトカバー版)

ゲド戦記 4 帰還 (ソフトカバー版)

最近、通勤電車の中で読み進めていて、一通り読んだのでレビュー。
全5+1巻の中で最も人気がないのがこの4巻。いわく「暴力的」「フェミニズムが強い」「ストーリーがいまいち」。確かにそういう面もあるかも。敵はちょっとしょぼいし、主人公はそんな敵にも屈してしまうし。
「3巻まででいい」という感想もあったかも。うん、3巻までの世界は完全で、きれいに閉じている。でもだからこそ逆に、2、3巻と読み進めるうちに退屈に感じたところもあった。ある程度先が読めてしまう。
その点、4巻から先は展開が読めなかった。4巻で竜と人という前提は覆るし、5巻で黄泉の国や魔法という前提まで覆ってしまう。その過程はとても爽快だった。
『神々自身』や『ニューロマンサー』のラストにも通じる、新しい世界が開かれる感覚。
そう、これはファンタジーというより極上のSFだと思う。
なお映画についてはこんなコメントもあるので観るつもりはないが、『ゲド戦記』という本の存在を思い出させてくれたことに感謝。